カテゴリー:中小企業憲章
2011年4月号【35回の連載を振り返って】 『あなたも「憲章・条例」の語り部です。~同友しずおかの35人~』杉村征郎氏(中同協・中小企業憲章・条例推進本部)
2008年5月から始まって、今回で終わる「同友しずおか」の憲章コラム「中小企業憲章と私」は、広報委員会のヒット企画だったと思います。毎号楽しみにしていました。
2003年に同友会が提起し、着実に運動を継続した結果2010年6月「中小企業憲章」は閣議決定に至りました。7年間の同友会の同友会運動の全国的課題を、静岡の個々の会員自身に落とし込むために、大きな役割を果たしたといえるからです。
何にしろ、35名の支部役員が「憲章・条例」と自分・会社をどう結びつくのか、真剣に考え、限られた字数のなかにまとめ表現する機会を与えられたのです。私は、当初から中同協の「学習」運動の責任を仰せつかり、「中小企業家しんぶん」の「中小企業憲章と私」を提案し、全国のリーダー57名から憲章・条例運動の意義と同友会への熱い思いを語って頂きました。
ところが、静岡同友会のコラムに登場した仲間からは、特別に多くのことを教えてもらい、気づきを与えられたように思います。身近な人たちという理由だけではありません。私は全国各地で講演に呼ばれる際、少なからずの代表理事や事務局長から「うちの県では憲章が進んでいない」と言われました。「憲章・条例」は、「むずかしい」、「わかりにくい」など枕ことばを冠することが流行っていたとさえ思えました。しかし、実は会員のだれもが、厳しい経営を強いられる環境のなかで中小企業家の矜持をもち、地域や日本のあるべき姿さえも考えている、と考えていました。同友会が言い出した憲章」なんだから、自分も知りたいと思っているのです。運動が進むにつれて私には、北海道から沖縄まで全国の同友会員は、「同じ」であることに確信を持てるようになりました。
今回、35人の「憲章コラム」を改めて読ませてもらい、難しいと思われていた問題の本質をとらえ、自身の経営や経営環境から、あるいは従来の自分の考えの進化、そして同友会理念との関わりなど、深い思考に導いた会員のすごさ。このような方がたくさんいる同友会に驚きました。
次号では読ませて頂いた中から、特に心に残ったものを紹介させて頂きます。
~後篇~
中小企業憲章の制定運動は、同友会運動の精髄(エッセンス)です。同友会に入会し、同友会理念のなんたるかがだんだんわかってくると、自社だけでなく、地域社会、中小企業、日本経済、社会のあるべき姿さえも考えるようになります。
國末哲也氏(三島支部)は「自社の社会的役割を明らかに」、簑威賴氏(富士宮支部)は「経営指針づくりの中に憲章の精神を」、市川正樹氏(伊東支部)は「憲章理念を経営にどう反映させるか」、小林修氏(富士支部)は「メシの食える憲章」と自社の経営から考えました。
井上斉氏(静岡支部)は「同友会で学びこつこつ実践、自社の発展が地域貢献へ」、戸塚勝氏(榛原支部)は「中小企業経営者として地域活性化に取り組む」、望月賢一郎氏(静岡支部)は「地域のことを最もよく知ることが中小企業」、穂坂勝彦氏は(富士宮支部)は「地域社会に必要とされる存在として」、久保修平氏(三島支部)は「地域と共に歩む酒屋さんに」と、憲章と地域振興基本条例の必要性に接近しました。
池谷達也氏(富士宮支部)は「国民に中小企業の存在を正しく理解してもらうために」、松葉秀介氏(志太支部)は「PUREな志を持ち続けたい」、河原崎勝弘氏(榛原支部)は「元気の源を中小企業から発信していこう」、梶山康行氏(三島支部)は「中小企業だけが日本を救う」と、憲章・条例の理念を基に新しいルールを作られることを期待し、中小企業家の矜持(プライド)を訴えています。
秋山和孝氏(沼津支部)は「同友会が提唱する人間尊重の経営こそ大切」と“自主・民主・連帯”の深い意味、“国民や地域と共に歩む”同友会理念と憲章との関係を書きました。
これからの日本に行くべき道にまで考えを巡らせたのは、三田宏一氏(三島支部)、「Think Small First、Think Future First」子どもたちの未来のためにと訴えます。外田雅樹氏(富士支部)は「憲章の理念が活かされる社会に」、望月富士雄氏(沼津支部)は「すべての道は中小企業憲章に通ず」と言い切っています。
私が感動した一文は桑﨑雅人氏(沼津支部)です。「平和あってこその中小企業憲章」と、母親が長崎原爆の被爆者であり、幼い頃から戦争の悲惨さを教えられ、中小企業は平和の中でこそ発展できる、改めて核のない世界平和の確立を考えたいと訴えます。
憲章は難しくありません。「3つの目的」の総合的な実践によって誰もが理解できます。閣議決定の憲章の普及、私たちの「憲章草案」の意味するところの学習、「中小企業振興基本条例」制定運動を各支部で進めましょう。