カテゴリー:会員訪問記
生産農家と歩む漢方薬原料の栽培
㈱河原崎商事
代表取締役 河原崎 勝弘氏 (榛原支部)
事業内容:農業資材・石油類・プロパン・消防、防災機器販売
創業:1950年(昭和25年)4月
社員数:正規17名、パート2名
入会:1995年8月
所在地:牧之原市菅ヶ谷2079-1
URL:http://www.kawarasaki.co.jp
社屋前で 左:河原崎氏 右:取材 河内氏
お茶農家の苦境に向き合う
地元牧之原のお茶農家などに農薬や肥料、燃料などを販売する同社。先代の父が農業資材販売を始めてから64年目を迎えます。長く農家と向き合うなかで様々なニーズを「まずはYesから考える」と語る社長の河原崎氏。現在は創業時からの資材販売だけでなく、石油類や消火器・防災器材の販売部門など事業を広げながらお客様の要望に応えています。近年は後継者不足や震災後の風評被害で廃業する生産農家など苦境に立たされる状況を目の当たりにしました。「お茶だけでない新しいもので農家を元気に」と発起し、平成24年10月、農業生産法人㈱薬善を設立、代表取締役を兼任しています。
漢方薬原料の栽培で市場開拓
薬善では漢方薬の原料となる薬草植物の栽培、生産農家の普及を行います。耕作放棄地を活用することで農地再生にも繋がる取組みにマスコミや金融機関も期待を寄せています。現在の栽培面積6㌶のうち、2㌶を薬善、4㌶を賛同した農家がミシマサイコとトウキを栽培。種苗の無償貸与から栽培指導・買取りまで契約農家の支援をし、お茶と重ならない11~1月の収穫時期で農閑期の安定した収入源になります。各農家が生産した薬草の全量を薬善が買上げ、加工・選別し、漢方薬メーカーに納入します。メーカーと提携して、需要の伸びとともに国内調達の比率を高め、将来性が期待される新たな農業ビジネスを確立しました。
地域農業を活性させる
地元農家の喜びや苦しみと共に歩んできた河原崎商事としての経験を生かし、薬善が地域農業の活性化の具体策を示す役割を担います。今年末、初めての収穫を控え、3年後には事業を軌道に乗せ、安定生産とさらなる栽培面積の拡大を目指しています。これまで河原崎商事を支えてくれたお茶農家への恩返しと地域再生への想いを後継者や社員にも伝え、農業ビジネスの新たな一手として「静岡県を日本一の薬草産地にしたい」と語りました。
取材:河内 崇文氏(㈱スマートブレイン・榛原支部)