県同友会設立40周年記念特集 設立メンバーが語る同友会 -第一回- 杉村 征郎氏

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県同友会設立40周年記念特集 設立メンバーが語る同友会

第一回 杉村 征郎氏(杉村精工(株)・志太支部)

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設立メンバーとして、今の同友会をどうご覧になりますか?

設立当時の同友会と今の同友会を較べると、「外部環境の変化に立ち向かう」という点では、昔も今も会員の意識・姿勢については同じだと思います。ただ、今の中同協は先見性、科学性、運動形態などが進んでいて、会員にとってのメリットも多い。これは、40年という歳月の中でそれぞれの会員が時代ごと・企業ごとの困難と向き合い乗り越えてきた、会員一人ひとりの歴史が同友会運動の中で蓄積されているからです。日本経済や社会の変化と真摯に向き合ってきた会員達の奮闘努力の蓄積が、今の同友会の姿なのです。

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杉村さんにとって同友会とは、を一言で言うと?

32歳で入会した私にとって同友会とは、一言で言うと「全て」です。会社の歴史や今の姿は、同友会無しにはあり得ません。

フリードリヒ・エンゲルスの『空想から科学へ』『フォイエルバッハ論』等を通じて10代後半までに培った自分の価値観は、ビジネスの場では自分のぶれない信念、あらゆる利害、矛盾を乗りこえて「止揚」するためのものでした。この哲学、世界観は情勢認識、運動の方針、同友会が言うところの「人を生かす経営」の全ての方向性と完全に合致するものでした。そして私は、我慢するのが社長の仕事、全体の最適の為に自分がどう我慢するか、を考えていました。また、私は二代目経営者だったので、創業者が築いてきた基盤を守り、更にその発展を目指していました。その間の40年、同友会は私にとって、経営者としての学びの場でした。そして今、私の価値観の原点は、同友会運動の中で開放され、開花しています。

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同友会の本当の魅力に出会う前に退会してしまう方がいるが、どう思われますか?

自分自身の想いや周りとの関係、自社の経営など、現時点で置かれている外部環境や状況の中で、同友会とは別の場所で一生懸命やることがあるならば、そこで一生懸命学べばいいと思います。ただし、いずれ必ず気付くであろう同友会との繋がりを残すため、辞める、ということはしないで欲しいです。

私にも、同友会に戻ってくるきっかけがありました。それは、自社の努力や自分の努力ではどうにもならない、という経営上の阻害要因に出くわしたことです。その阻害要因とは、政治や行政が中小企業の役割と重要性を認識できていないということ、結局大企業重視の固定概念から脱せないということを、行政との深い関係の中で知ったことでした。同友会での活動の中で行政との勉強会、審議会など関わる事も多かったのですが、その中で私は、行政の中小企業に対する本音と建前、実際には多くの企業が如何に軽んじられているのかを幾度も痛感しました。そこで感じたのが、中小企業家同友会の存在と必要性です。中小企業が草の根から声を上げ、結束していかねばならない。中小企業が自ら政治を変え、社会を変えていかねばならない。同友会で学び、良い会社をつくり、そのプロセスで良い経営者になれるのは同友会しかありません。

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ノウハウを学ぶ事と本質を学ぶ事、どちらが大事だと思われますか?

ノウハウと本質、両方を学びなさい、というのが私の答えです。

理念による組織統一は望ましいですが、ビジネス界主流の価値観の影響が強く、同友会理念の自身への血肉化は、現実には簡単なものではありません。理念とプロセスが評価されるよりも、ビジネス上の成果、成功し、勝たなければ認められないという通念があります。結果を出すための手段が必要になります。それが「ノウハウ」です。

ノウハウの一つとして、経営分析、特に財務面から見た業界分析と自社の置かれている状況の分析が大事だと感じています。「ハウツー」は成功事例に学び、自分に合わせて採り入れることです。

会員は、自社の変身戦略を打ち立て、努力し、試行錯誤を繰り返し、もがき苦しむ。その過程で、得も言われぬ怒りを覚えることがあります。それが、社員への共感に繋がるのです。私はかつて、労組への対応の中で、罵詈雑言にも似た意見を浴びせられました。オイルショックの中、製造業は厳しい環境下に置かれ、社長の給与も切り詰めている中、一方的な意見を聞かされる。でもそれは、労働者の社会に対する不満の声なんですね。そして、そのような最中に静岡同友会は設立されました。その当時は、ボスを作らないとか、自主・民主・連帯といったそれまでの経営者の考え方と全く異なる事を標榜しているものだから、妙なレッテルを貼られ、根拠のない非難を受けました。しかし、誰も辞めませんでしたね。

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これからの同友会に期待することは?

中小企業憲章・中小企業振興基本条例制定運動は、同友会の歴史の中でも最大の歴史です。中小企業憲章は、中小企業が誇りを自覚できるものです。「光を当ててくれ」と世に訴えるのではなく、自らが光を発するためのものが、この憲章です。

かつては会内にもあまり理解・浸透していなかったこの条例は、今では役員の全体と言えるほどに浸透しています。これは大きな変化であり、次の到達点に必ず辿り着けると感じています。「同友会は、誇りを持って」。多くの国民、「産・学・官・民・金」、マスコミ、そして政府、与党の中にさえ、憲章への共感者が多数になるまで、働きかけていきたいです。

インタビュー:青山 達弘氏((株)青山建材工業・静岡支部)

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