平成26年11月20日(木)から21日(金)にかけて、メルパルクNAGANOにて、第4回 人を生かす経営全国交流会 in 長野が開催されました。経営労働・社員教育・共同求人・障害者問題の4委員会の合同企画によるこの全国交流会には、全国から466名、静岡県からは8名の会員が参加し、労使見解を軸とした採用・教育および経営指針の確立・実践や、各委員会の諸活動を企業の総合的実践へ結び付けるための運動の体系化について学びました。今回は参加者の中から、伏見修氏(㈱富士山ドリームビレッジ・静岡支部)、金指忠男氏(㈱オートベル・沼津支部)に報告して頂きました。
第3分科会 報告
報告者は植木鉄也氏(㈱ウエキ伝導機 代表取締役・長野同友会)。たった9名の会社が1名の障がい者の雇用に挑んだ経緯と、実際に雇用する過程や仕事の中で社長である自分と社員、そして会社が変わっていく様子を報告して頂きました。
植木氏は2代目経営者で、同友会は一度退会し再入会という経歴です。厳しい父親と息子である自分。その父親が同友会での活動を理解できず、退会してしまいました。その後、父親から会社を譲り受け自分が経営者となってみると、社員と自分との間に隔たりを感じます。厳しい自分とおどおどしている社員、そこに嘗ての自分の親子関係が思い起こされました。そこで再入会し経営指針、労使見解を学び直し、その中で先輩経営者から障がい者雇用を薦められ挑戦するに至ります。
最初は社内でも理解が得られない中、雇用した障がい者の仕事づくりから始まりました。数を数えることが得意ではないので、簡単に数が数えられる冶具作りを考え戦力化していきます。その内に検品作業に特異的な才能があることが分かり、その才能を生かす仕事をさせてみたところ、製品の不良率が少なくなり、自社製品の品質が高まっていきました。
障がい者はその個性を活かすことで十分企業の戦力になりうる、また健常者にも言えることですが、違いを認め個性を生かすということが人を生かす経営にも繋がっていく、という実例の報告でした。
今回の報告からは3つのことを学ぶ事ができます。1つ目は、個性を認めその特異な能力を引き出し生かす事が組織全体の能力の向上に繋がるという事。2つ目は、社員に一方的に仕事を与えず、目線を下げ一緒に考える事で、コミュニケーションが生まれるという事。3つ目は、組織内で役割を明確にすることで、次にやる事業が見つかるという事。実際、㈱ウエキ伝導機は次の事業として、検品作業を別事業として設立を考えたとの事でした。障がい者雇用をすることで、社長が変わり、会社が成長していくという事が実感された報告でした。
伏見 修氏(㈱富士山ドリームビレッジ・静岡支部)
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第6分科会 報告
第6分科会のテーマは「人を生かす経営の実践:経営ビジョンに基づく新卒採用・『共有』で、『誇りと豊かさ』を育む」。広島同友会求人社員教育委員長を務める川中英章氏( ㈱EVENTOS 代表取締役)が発表を行いました。
川中氏はケータリング、飲食店、ワインショップ、農村活性化事業に取り組んでいます。1986年に創業し、当初は順風満帆。それが一転して11年後に経営破綻が訪れ、大量退社、そして残った多額の負債。そこからの再起を決意し、2004年に同友会に入会して「学び」を始めます。また、共同求人活動に参加し、組織変革を進めるために新卒採用に踏み出し、2008年には6名を採用します。しかし、新卒社員を迎え入れる教育評価制度も社風も整備されておらず結局新入社員全員が退職してしまいました。それでも挫けず採用を続けます。その後、採用活動、新入社員研修に携わる中で、経営者がビジョンを示し、全社員でそれを共有し、経営者が社員と共に歩む経営の意味と大切さに気づきます。経営姿勢が変化していく中、旧体質から脱せない総料理長・人事責任者・幹部社員が退職。さまざまな困難や課題の克服を経て、さらに経営理念、経営指針が社内へ浸透していき、25期決算では自己資本比率40%を達成しました。
川中氏は、「ありがとう」と「チャレンジ」があふれる会社を目指す、獅子奮迅の様子を迫力ある言葉で発表されました。経営理念、経営指針の大切さもさることながら、それを作って終わりではなく、それを作ることこそが始まりであるという事、理念・指針を組織に浸透させることが大事であり、そのためには経営者の一徹な姿勢、凄み、迫力、徹底力が欠かせない、という事が心身に響き渡る発表でした。
金指 忠男氏(㈱オートベル・沼津支部)
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