カテゴリー:伊東支部 / 支部別記事 / 新着情報 / 私の逸品
【逸品】畳縁を利用したオリジナル商品「縁」
会員企業名 | ㈱杉本商店 | 創業 | 1919年 |
会員名 | 杉本 高英 | 業種 | 畳業、内装仕上げ工事 |
所属支部 | 伊東支部 | 従業員数 | 正規17名 パート2名 |
会暦 | 2014年6月入会 | 事業内容 | 畳業、内装仕上げ工事 |
元密着の畳業
伊東駅から徒歩5分、猪戸通り商店街内を進むと「杉本商店」の大きな看板が見えてきます。会社は杉本高英氏の祖父(初代)が畳職人として歩みだし、今期で100年を迎えます。創業時は畳の工事業を主体に事業を行っていましたが、その後畳材卸業を併設、更には内装工事業を展開、現在ではリフォーム工事も手掛けています。一般住宅はもちろん、伊東の土地柄もあり旅館やお寺など地元に密着したお客様が多いそうです。近年はホテル・旅館のM&Aで経営者が変わることが多く、その影響で取引が減ることもある一方、逆に新しく受注が入ることもあるそうです
畳縁を利用したオリジナル商品「縁(えん)」シリーズ
同社では畳の縁(ふち)を使ったポーチやカードケースなどのオリジナルグッズを手作りで製作し販売しています。畳の縁といっても現在は数多くのバリエーションがあり、お店には畳らしい和柄からポップな花柄のものまで、多様な商品が並んでいます。主に杉本氏のお母様が手作りしており、お客様のニーズに合った物を作ることができるのが強みです。杉本氏は「オリジナルグッズの販売を通して、畳の多様性をお客様に提供していきたい」と話してくれました。
技術を継承するため
現在社員の平均年齢は約50歳。高齢化と人材不足が課題だと言います。会社の財務状況を整理把握し、オリンピックが終わった2、3年先を見据えた経営環境を作らなくてはなりません。ベテラン職人の技術を若い人材に継承していきたいという想いですが、現状は技術をしっかり教える時間を確保することが難しいそうです。しかしトップが軸をしっかり持ち、現状に甘えず先を見据えた判断をしていくことが必要だと杉本氏は語ります。今後は古くなった機械を新しく整えるために設備投資を行い、人材採用・教育にも投資をしていきたいと考えており、そのためにまず財務状況を改善し、強い経営体質を作っていきたいと話してくれました。
「当たり前」を大切に
これは日常生活の基本であり、杉本氏が社員教育で大切にしていることです。相手が気付くあいさつをする、靴を脱いだら揃える、など礼儀として「当たり前」のことを社員一人ひとりが意識し、全社一丸となって取り組んでいます。仕事中だけではなく、プライベートでもこれらを徹底することで本当の意味での「当たり前」になると杉本氏は言います。「お客様の前で仕事をする時の心がけが身につけば、今度は家に上がったときに他の人の靴も揃えられるようになる。このように当たり前のレベルを上げていきたい」と語る杉本氏。
もう一つ大切にしているのが、茶の湯の「主客一体」の精神です。招く側の主人と招かれる側のお客がお互いに協力し、一体となって良い空間をつくりあげるという意味です。この主客一体の心は茶道に限らず通常の人間関係・日々の業務にも相通じるものであり、相手の立場(顧客・社員)に立って考えを共有することが、これからの営業活動や経営に必要な考えの一つにもなると杉本氏は話します。
お客様の家に上がることが多い職業だからこそ、きめ細やかな心遣いを大切にしていることが伝わってきました。
取材・記事:鈴木 将大氏(㈲東亜電気工業・伊東支部)