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10月10日(水)、静岡大学人文社会科学部で静岡大学連携講座「企業経済持論Ⅳ」第2回講義がありました。
「時代環境と中小企業経営」をテーマに、佐野 譲二氏(㈱和泉運送)が講義を行いました。
運送業は日常生活の基盤に深く入った大事な仕事であり、運送業がなければ私たちの生活は成り立ちません。全国で6万社ある運送会社のうち、トラック200台以上の会社は300社のみ、残りは中小・零細企業です。
日本のトラック運送の歴史は浅く、戦後の高度成長時代から始まりました。物を運ぶだけだった仕事から業態が多様化し、企業だけでなく個人にも対応するようになりました。さらに今では商品が多品種小口化し、倉庫ともからんだ仕事が拡がってきています。
このような時代環境の中で、佐野氏は38年間経営者として悪戦苦闘してきました。社内に労働組合ができて要求を突きつけられ、労使紛争が起きてこのままでは会社が立ち行かなくなると悩みました。
この時、同友会で学んだ「労使見解」が社内で信頼関係を作る上で大きな役割になりました。①経営者として、自分自身に責任をもつ。②経営方針をもち、社員に示す。③社員をパートナーとして大事にする。
社員が動かないのは経営者の責任であると自覚し、自分自身が成長できたと感じました。
現在の中小企業の多くは経営困難に直面しています。高度成長期には大企業の下請けとして存在していた中小企業は、自立した企業へと変化することが求められています。
会社の目的は利益だけではなく、社会の役に立つことです。佐野氏は目先のことだけにとらわれず、将来を見越した経営をしなければならないと考えて、そのための勉強を常に欠かさずにいます。
最後に学生へすすめる書籍を、読みやすい新書から選んで紹介しました。