~第4回東日本震災復興シンポジウム~ 東日本大震災から5年 教訓を100年後の未来に向けて

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3月10~11日に第4回東日本大震災復興シンポジウムが福島・宮城で開催され、全国から162名、静岡同友会からは7名の会員が参加しました。

10日には福島県いわき市に集合し、福島同友会会員の生々しい話を聞きながら貸切バスで国道6号線を北上。帰還困難区域に入ると、原発事故の被害の状況や、五感では知覚し得ない放射能の恐ろしさを感じました。各々が原発事故の現実を目と心に焼き付けた後、宮城県仙台市へ。11日のシンポジウムでは、増田聡氏(東北大学院経済学研究科教授)より「震災復興政策の検証と新産業創出への提言」をテーマとした基調講演、被災3県からの実践報告などの後、グループ討論で学び合いました。

2日間のシンポジウムでは、「強い絆のもと、われら断じて滅びず」という中小企業家の魂、「1社もつぶさない、つぶさせない」という中小企業家の絆、「地域に人を育て、地域に人を残す」という中小企業家の使命を再確認しました。また、この震災からの教訓について、

1.会員企業一社一社が労使見解に基づく経営指針の実践による「同友会型企業づくり」で地域の再生・復興の希望となっていくこと。
2.今こそ中小企業憲章の精神を地域の中に伝え、広げていくこと。地域に新しい仕事をつくり出し、雇用を生み出す地域循環型経済にとりくむことで復興の光となっていくこと。
3.エネルギーシフトの学習と実践。再生可能エネルギーによる地消地産をめざすことで、中小企業の仕事と雇用を生み出し、持続可能で質の高い暮らしと仕事を総合的に地域全体で実現していくこと。
4.自然災害への対応・対策を企業・地域・同友会の中で進めていくこと。企業においては事業継続計画、各地域においては環境適応計画の策定が急務。
5.同友会で学ぶ仲間を地域に増やしていくこと。被災地では同友会の大きさと強さが地域の再生と活性化につながったという教訓に確信を持ち、同友会運動を地域の隅々に広げていくこと。

以上の5点を各地に持ち帰り、後世に伝えていく事を誓い合いました。
 

参加者報告

あれから5年…。私は今回初めて東北の被災地を訪れました。ここ何年かの私は日々の生活に流され東北の復興の現状についてほとんど何も知ろうとせず、どこか他人任せで無関心だったように思います。震災当時は会社の業績が悪く、自社を守る事しか考えられず、少ない義捐金を出す事位しか出来ませんでした。ただずっと心の中で「このまま何もしなくてもいいのか?」と自問自答していた事も事実です。そんな気持ちで参加した今回の復興シンポジウム、1日目のいわき駅からバスで仙台まで海岸線を通過途中での様々な経験は、私の想像を絶するものでした。東京電力の福島原発の廃炉に向けての取り組みはまだ始まったばかりである事実、未だ立入制限区域で、あの日から全く時が止まったままだった浪江町の今の状態、他にも実際に、この目で見て、話を聞いて、肌で感じて、今の被災地の厳しい現実に愕然としました。しかし、そのような絶望的な中でも決してあきらめず、率先して町の復興の先頭に立ったのが我々同友会の仲間だったのです。2日目のシンポジウムでその事をお聞きした時は、心からの尊敬の念と、同じ同友会会員としての誇りを感じ、胸が熱くなりました。

今回参加して一番強く感じた事は、「被災地の復興にはまだまだ時間がかかる」という現実を同友会会員一人ひとりが決して忘れず風化させてはいけない、という事です。そして、ここ静岡でもいつこのような震災が起こってもおかしくないという現実について、もう一度考えなければと強く感じました。

宮本 浩氏(大栄工業㈱・志太支部)