【私の逸品】おもしろい酒がここにある!  ㈱しまだ 嶋田 康一氏(御殿場支部)

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【写真】㈱しまだ 店舗

会員企業名 ㈱しまだ 創業・設立 1909年1月
会員名 嶋田 康一 業種 酒類小売業
所属支部 御殿場支部 従業員数 社員3名 アルバイト4名
会暦 2014年1月入会 事業内容 日本酒、本格焼酎、日本ワイン、海外ワイン、泡盛、梅酒、和のリキュールなど販売

 

― お客様が望むことなら、最善の努力を惜しみません ―
 明治42年設立で創業107年の長い歴史を誇る〝しまだ酒店″。4代目の店主嶋田氏にお話を伺いました。
御殿場駅の富士山口より徒歩5分の旧246号(県道78号)線沿、新橋浅間神社近くの、POPなサインでモダンな店舗、昨年店舗改装を行ったそうです。店内に入ると多種多彩な日本酒、本格焼酎などが陳列され、種類と数の多さは壮観です。好きな方はビンを手に取り様々な質問をしながら数時間もいらっしゃるそうです。

■経営理念に対する思いはどのようなものですか
 「-商売は堅実に、お客様には誠実に-です。元々経営理念みたいなものはありました。自分は先に経営理念立てちゃうと背くようなことばっかりやってしまうので・・・。大手企業が掲げる経営理念は、奥深いと思います。」と謙遜する嶋田さんですが、しっかりとした思いお持ちです。
「理念も作ればそれに準じて商売したり生活環境良くしたりという事になると思います。例えば、1000万円儲かる話があって、そこに自分の経営理念があります。この1000万円の利益は自分の経営理念に背いて得るものと言われた時に、どうしますか?その1000万円は要りませんって言えるかどうか?そういう気持ちで、本当にそんな経営理念なんか立てて良いのかなって思うところはあります。自分が思うより経営理念って深いものなのでしょうね。頭の中では、ぼんやりですけど、『何かお客さんの喜ぶことをやっていくこと、お客さんの為に』と思っています。それを可視化するのが経営理念なのかなと」

■ご自身が目指す酒屋像とは
「昔は何でも得意先にしていた時期があって、居酒屋、キャバクラなどお酒が売れるところ全てに販売していたのです。とにかく、何でも喰い付くすように、お酒が売れれば、儲かれば、それで良かった。しかし30代後半位から段々酒屋としての道筋が見えてきて、お客様との付き合い方などが明確化してきました。」

新規オープンのお店に営業に行かなくなっているのも、自分の酒屋像みたいなものが確立し始めたからのようです。また、お客さんが望むのであれば1本からでも仕入れもされ、最善の努力をされているそうです。
ご自身が本格的にお店を引き継ぐようになってからは、色々な困難もありながら将来像を築き上げたそうです。

■蔵元とのつながりについて
 将来像が見えてくるとさらなる追求がはじまったそうです。

 「前文でも述べたように、先代の時、安売りしていた時期がありました。そうすると大きい波にのまれて、売上も落ちちゃって・・・自分はその時、お酒の問屋で働いており、色々な酒屋を見てきました。トラックが何十台もある酒屋、日本酒しか置いてない酒屋、店舗でディスカウントしている酒屋、デパートとか・・・。そんな中でも、一番イキイキしているのが地酒屋さんだったのです。専門店が一番お酒に対して、より深く探求しているし、知識もあったということです。そこから酒屋ってなんだろう?と思い、お酒の勉強を始め、頻繁に雑誌に載ってくる酒屋を調べ、全国行脚が始まりました。
最初は、今でも親しい愛知の酒屋さんで『この酒良いから蔵元行って来い!』って教えてもらいました。それで、美味しいお酒の一つ“まんさくの花”を求めて秋田県まで。電車のチケットを握り、新幹線と鈍行を乗り継いで、お酒の知識もないのに『取引したいのですけど』と。そしたらそこの社長さんが凄く良い方で『じゃあ、泊っていきなよ』と言って頂けたので一泊させてもらい、居酒屋で色んな話を聞かせてもらえました。そこが初めての蔵元との取引で“まんさくの花”というお酒でした。皆、こんな感じでお酒を仕入れ、取引きしてもらい、それを地元で育ていくんだなってことに気が付きましたね。それから色んな酒屋さんと仲良くなって、ここにはこういうお酒があるよ!今あそこの蔵元で跡取りがこんな取組みをしているよ!という情報が全国から入ってくるようになりました。その後も電話でアポ取って、考え方や人柄等も確認し、こちらから『取引してください!』と歩き続けましたね。それでこんな感じのお店になってきた。ユーザーにも営業、蔵元にも営業、とにかく色んなアプローチのかけ方をしました。ただ、お店に置けば売れるということも無かった。だって誰も知らないものを皆怖くて手を付けないですよね。だけどそうやっているうちにあそこ何か面白い物を置いてあるんだよ、という評判が、飲食店さんや、一般のお客さんの耳に入り、どんどん広がっていきました。」

■今後の同友会について
 「吸収出来るものは吸収していきたいと思います。自分に無いものを持ってる方とも付き合っていきたいなと思っています。あくまでも会社の経営に関した部分を勉強する場なので、行かなければ学べないし行けば得するし、それで良いと思っています。一生懸命やっている人は日の目を見る世の中にしていかないと駄目ですよね。何でもそうですが、頑張っても報われない時代かもしれませんが、頑張って方向性さえ合っていれば絶対報われると感じるようにしていきたいですね。」

 取材中も何度か電話での問い合わせや、お客様の接客に追われながら奮闘しておりました。また、高校、大学、社会人でラガーマン、高校時代は全国大会にも出場経験をお持ちで、2016年4月1日に設立した「裾野御殿場ラグビーフットボール協会理事長」として2019年ラグビーワールドカップ開催に向けても、多方面で活躍中です。
今後の益々のご活躍を期待します。

店内様子

左から加藤氏、片野氏、嶋田氏、勝間田氏

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取材・記事:片野貴一郎氏(㈱モスク・クリエイション・御殿場支部)
             取材:勝間田誠氏(㈱文化堂・御殿場支部)
             取材:加藤弘一朗氏(㈱時之栖・御殿場支部)